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PM/PdM

岩科 智之さん

岩科 智之

フリーランス5年目で直面した“年齢とキャリアの壁”、乗り越えるためのキャリアの見直しに伴走してくれた

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Introduction

会社に振り回されることなく、自分のキャリアは自分自身で描きたい——。そう考えて会社員からフリーランスに転じた岩科智之さんは、40歳を前に年齢とキャリアの壁に直面しました。

自分の目指すキャリアに必要なスキルや経験を見直しはじめた岩科さんは、どのようにして新たな一歩を踏み出したのでしょうか。話をお聞きしました。

フリーランス歴5年で直面した「スキルと年齢の壁」

会社員として7年間働いたあと、フリーランスになったとお聞きしています。フリーランスとして働こうと思ったきっかけは?

岩科さん: 新卒で入社した会社が、ちょうどビジネスの転換期を迎えたタイミングであり、仕事をする中でキャリアについて考えさせられることが多かったんです。「自分でしっかりキャリアを考えないと、会社の事情に振り回されて、思うようなキャリアパスを描けないかもしれない」と思ったのがきっかけでした。

携帯電話向けアプリの開発を主軸とする部門に配属されたのですが、ちょうど世の中がガラケーからスマホにシフトしはじめた時だったので、ガラケーを担当するか、スマホを担当するかでキャリア面での命運が分かれるような状況でした。また、たとえスマホ担当になっても、長年の経験を持つエンジニアに、テスターのような新人向けの仕事が割り当てられることもあり、「会社の方針に従うだけでは自分のキャリアをコントロールできない」と危機感を抱くようになりました。


この会社では、さまざまな部署で経験を積み、エンジニアの経験を生かしてクライアントと開発の間に立って両者が伝えたいことを「翻訳」するような役割を主に担ってきましたが、入社から7年たったところで「自分の力で仕事を選べるようになりたい」と考え、フリーランスの道を選びました。

フリーランスとしてどのようなキャリアを積んできたのですか?

岩科さん: フリーランスとしての最初の1年は、前職の経験を生かしてPMO業務を担当しました。その後もクライアントと開発の間に立つポジションを続け、案件ごとに異なる規模や要件に対応することで、キャリアの幅を広げました。


特に、大規模案件ではセキュリティ対策やデータ分析を重視し、小規模案件では柔軟な開発が求められるなど、異なる視点を身につけることができました。こうした経験を通じて、エンジニアリングだけでなく、プロジェクト全体を俯瞰するスキルを磨きました。

5年間フリーランスとして働いて、再び会社員に戻ろうと考えたきっかけは何だったのでしょうか?また、独立して働き続けることについて、どのような点で迷いや不安を感じるようになったのですか。

岩科さん: フリーランスとして活動する中で、年齢とキャリアの方向性について悩むようになりました。具体的には、私のようなPMの経験を持つ人間が今後もプロジェクトに関わっていく際に、年齢が邪魔をしてしまうのではないかという懸念があったのです。

例えば、バックグラウンドを知らずに「50代のPM」とだけ聞くと、その人のことを「ちょっと扱いづらい」と思う人は少なくないですし、自分が採用する立場でも、同じスキルであれば若い人材を選ぶ傾向があるのも事実です。


当時、38歳だったのですが、このタイミングで、選択肢を広げるという意味でも、マネジメント領域の仕事を経験しておくことが重要なのではないかと考えるようになりました。業務委託でもマネージャー的な役割を任せてくれる会社はありますが、ガバナンスや契約期間の制約上、どうしてもアクセスできる情報が限られたり、長期的な計画や仕組みづくりに携わるのが難しかったりということが出てきてしまいます。

それならばいったん、会社員になってマネジメント経験を積んだ方が、今後のキャリアの選択肢が広がるのではないかと思ったのです。

「伴走する姿勢」が決め手に——コードクライマーとの出会い

これからのキャリアについて考えようと思ったとき、なぜコードクライマーに相談しようと思ったのですか?

岩科さん: エージェントを探していた時、検索でコードクライマーを見つけたのですが、サイトから代表を務める内田さんの人柄や、「寄り添い、伴走するサービス」というイメージが伝わってきたことから相談してみようと思いました。

というのも、他にもいろいろなエージェントについて調べてみたのですが、その多くが「契約をゴール」ととらえており、契約後のキャリアまで一緒に考えてくれるようなイメージを持つことができなかったのです。これからのキャリアについて中長期的に考えたいと思っていたタイミングだったので、契約をむしろスタート地点として考えてくれるコードクライマーの姿勢に共感し、相談しようと決めました。


また、CTOへの道をキャリアの選択肢として提示してくれたのも、私にとっては魅力的でした。これまで自分が思い描いていなかったキャリアの可能性が見えてきて、「思ってもみなかった場所に辿り着けるかもしれない」と感じたのです。

岩科さんのキャリアの迷いを内田さんはどのように捉え、どのような解決策を提案されたのでしょうか。

内田さん: 岩科さんからキャリアの相談を受けた時に気になったのは、直前の案件が4年間と非常に長期だったことです。一般的にフリーランスの立場でこれほど長く同じ現場にとどまることは少ないんです。それだけ高く評価されてきたことの証だと思います。

ただ、フリーランスのままで長期間、同じ環境で働き続けると、職務経歴書の信頼性に影響が出ることがあります。フリーランスに社内のコア戦略を任せる企業は少ないことから、どれだけ責任のある仕事を担っていても、どうしても職歴が割り引かれて見られがちなのです。

さらに岩科さんの場合、長らくPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)的な立場で、ビジネス側と開発側の間を取り持つ役割を担っていたのですが、この仕事は説明が非常に難しいんです。エンジニアなら開発言語や担当機能などを記載することで実績を明確に伝えられますが、PMOのスキルは抽象的で、「ビジネス要求を整理してプロジェクトを円滑に進める」という表現だけでは、実際の仕事の難易度がなかなか伝わらないんです。


当時38歳だった岩科さんは、明確なキャリア設計をしていないとフリーランスとしての仕事を受注しづらくなる「40歳の壁」に近づいており、このまま調整的な業務に留まると、次のステップに進みにくくなる恐れがありました。

特に岩科さんには「売上をつくる」「顧客に直接価値を提供する」といったサービスの開発に携わりたいという希望があり、プロジェクトマネジメント寄りの経歴では、プロダクトマネージャーのような役割への転換が難しいと感じたことから、40歳になる前にその方向に進む足掛かりを作る必要があると判断しました。

整っていない開発現場こそ成長のチャンス——“仕組みづくり”への挑戦

岩科さんのキャリアについてヒアリングした結果、内田さんは岩科さんにどのような企業を紹介したのでしょうか。

内田さん: 岩科さんの状況を分析した結果、会社のフェーズとカルチャーにフォーカスして企業選びを行いました。

まず考慮したのは、スタートアップのフェーズです。岩科さんの経歴からすると、0→1フェーズといった初期段階のスタートアップはフィットしにくいと判断しました。直近まで大手企業で働いていたため、いわゆる「カオスな環境」や「足りないものは自分でなんとかしろ」といった丸投げの文化とのギャップが大きすぎると思ったのです。そこで、スタートアップと大手企業の中間に位置するような会社を探しました。実際に紹介したのは、比較的最近、買収されたスタートアップ企業です。

買収された側のスタートアップの社長が買収側企業の社長に就任するという珍しいケースで、既存事業で収益は安定しているものの、新規事業などアグレッシブなことができる人材が社内にいなかったことから「会社もノウハウも社長も買う」という形でスタートアップの買収に踏み切ったという経緯がありました。従来のスタートアップ文化はそのままに、一定の資本力と安定性を持ちながら裁量も大きく、働き方も自由度が高いという、まさに「中間」に位置する環境でした。

この会社で岩科さんが担う役割はどのようなものだったのでしょうか?

内田さん: 買収されたスタートアップ側の事業に、岩科さんにぴったりな仕事がありました。この会社はカスタマイズ性の高いモバイルアプリの開発を支援するSaaSサービスを手がけており、大手クライアントを中心にアプリの開発から運用までを支援しています。単純な開発にとどまらず、上流のコンサルから入って、伴走しながらプロダクトをつくる——というアプローチをしていて、技術を理解しつつプロジェクトマネジメントもできる人材が不足していたのです。


「エンジニア経験があり、プロジェクトマネジメントもできて、さらにプロダクトマネジメント寄りの仕事を手がけてみたい人材がいる」という岩科さんはまさに適任だったので紹介しました。

この企業の課題は、事業の急成長に仕組みや体制の再構築が追いついていないという点でした。開発フローの再設計やAPI仕様の体系化など、スケーラブルで再現性のある開発体制を整備する必要があり、多くのメンバーがその重要性を認識しながらも、日々の業務に追われ本格的な対応が後回しになっていました。


岩科さんには現状の課題を明確化してボトルネックを特定・解消する役割を担ってもらえると考えたのです。大変な環境ではありますが、これを乗り越えれば「自分が実現した」と明確に言える実績になりますし、社内に社員もほとんどいない状況なので「それはほかの社員がやったこと」と言われる心配もありません。

この会社のユニークな点は、クライアントの要望をただ実現するだけでなく、「こういうことをやったらもっと良いのでは」と提案しながらサービスを作る姿勢を持っていることでした。この環境は岩科さんが希望していた「売上を作る」「顧客に直接価値を提供する」プロダクト側の経験を積むニーズにも合致していたのです。

「人が足りない現場」で問われたマネジメント力

内田さんから紹介された仕事は、どのような形で岩科さんのキャリアの課題解決につながったのでしょうか。

岩科さん: 実際に仕事をしてみると、業務内容自体は前の会社でも経験していた「上流から現場までを見る」という流れに近いものでしたが、大きく違ったのは「人が揃っていない」環境だったことです。

これまで大企業を中心に活動してきた私にとって、リソースや予算が限られた状況でどう問題を解決するか——というのはこれまで直面したことのない課題でした。人材不足だけでなく、スキルを持った人も不足している中で、どこまで他の人に仕事を振り、どこまでを自分でカバーするか、その案配が難しいのですが、新たな挑戦としてとらえています。

内田さん: 岩科さんのニーズに合わせるなら徐々にオンボーディングし、慣れてきたところで裁量を広げていくアプローチが理想でした。しかし、スタートアップ環境では「人も金もない」のが現実です。この経験は、何かが足りない状態でマネジメントする難しさを学ぶ絶好の機会だと思っています。

岩科さん: 現在は参画からしばらく経過しており、プロダクトマネージャーとしての視点も身につけつつあります。今後は各クライアントの案件をPMとしてまわすだけでなく、共通のプラットフォーム開発や仕様決定など、より製品全体を見る役割に注力したいと考えています。当初思い描いていたよりも高い目標を持てるようになりました。

業務委託として入ったこの会社で、今は正社員として働くようになったとお聞きしています。

岩科さん: 社員と同じような責任ある仕事を任せてもらえる業務委託という形で入ったのですが、その後しばらくして正社員になりました。スタートアップ色の強い会社なので、責任のある仕事を任せてもらえましたし、プロダクトマネージャーを目指す中で現場のこともだんだん分かってきて、ビジネスをスケールさせるために果たすべき役割も見えてきたので、正社員の道を選びました。


内田さん: やりたいことを叶えるために正社員であった方が近道になるのなら、雇用形態にこだわりはないと岩科さんがおっしゃっていたので、クライアント側にもそのように伝えていました。岩科さんの持つスキルがまさにクライアントが必要としているものだったので、ぜひ正社員に、という話になったのです。ビジネス側のスキルを身につけたいという岩科さんにとってもステップアップのチャンスになると背中を押しました。

キャリア相談の時の内田さんの対応や伴走について、コンサルを受ける前と後で印象は変わりましたか?

岩科さん: コードクライマーのWebサイトから受けた第一印象と、実際にお会いして相談に乗っていただいた印象は変わりませんでしたが、自分のキャリアを見直す支援をしていただいたのは、とても良い経験になりました。

自分で自分のキャリアを客観視するのは難しいもので、「このままで大丈夫なのか」という漠然とした不安や、「この経歴書では自分がやったことを十分にアピールできていないのではないか」という感覚はあったものの、具体的な解決策がわかりませんでした。


内田さんは、その問題点を噛み砕いて説明した上で、「現在はこういう状態だから、次はここを目指し、さらにその先はこうしましょう」という道筋を示してくれました。それにより 「この方向で進もう」と自信を持って踏み出せるようになったのは、大きな転機となりました。

誰にも相談できなかったキャリアの悩みを聞いていただけたことは非常に貴重な経験でしたし、紹介していただいた仕事も私のフェーズに合ったもので、非常に納得感がありました。

内田さんに伴走してもらってあらためて分かったコードクライマーの良さとは何ですか?

岩科さん: コードクライマーがほかのエージェントと大きく違うのはフィードバックの仕組みです。他のサービスでは「クライアントからこう思われています」という情報は得られますが、こちらからクライアントにフィードバックを送る仕組みはほとんどありません。この仕組みがあることで、相互理解が深まっていると思います。


コードクライマーの良さは、エンジニアの思いや状況を丁寧に吸い上げてくれる点にあります。 「何か問題はありませんか?」「現状はどうですか?」と細やかに確認してくれるのは、日々の業務に対する安心感を支える要素になっています。他のサービスでも軽いヒアリングはあるかもしれませんが、ここまで細かく状況を確認してくれるのは貴重ですね。

業務委託と正社員の両面から最適なキャリアを提案

コードクライマーならではの強みはどこにありますか?

内田さん: 1つは業務委託と正社員の両方の選択肢から、その人に合ったキャリアパスを提案できる点です。例えば「この人の場合は数年間、業務委託で仕事をした方がキャリアにレバレッジがきく」「この年齢と経験だと、正社員にならない限り、似たような業務委託案件ばかりに限られてしまう」といったように、ケースバイケースのアドバイスができます。

もう一つは職務経歴書のデータを分析し、それに基づく提案をしている点です。「どういう経験があって、どういう経験が足りないのか」を年齢や目指すキャリアと照らし合わせて考え、その上で新しい環境に慣れるのに1年、しっかりしたキャリアを築くのに2〜3年かかることを踏まえ、「今、何を、どの会社で、どこに注力すべきか」を提案します。

クライアントからの評価フィードバックも常に集めているので、「この経歴だとクライアントはこう評価する」「この経験はこんなに価値がある」といった情報もあります。こうした情報をマッピングして足りないものを見つけ、ファクトベースでキャリア構築をサポートしています。

この方法は工数がかかりますが、一緒にキャリアについて真剣に話し合い、長期的な視点で成長を目指したい方とは良い関係が築けると思っています。


コードクライマーは、特に年収700万円〜900万円前後のミドルクラスのエンジニアのキャリア支援に強みがあります。「ミドルクラスで頭一つ抜けてもいいはずなのに、伸び切れていない」という方に価値を提供できると思うので、気軽にご相談いただけたらと思っています。

どんな課題を持つエンジニアにコードクライマーを使ってほしいですか?

内田さん: 正直なところ、コードクライマーはすべてのエンジニアに合うサービスではないと思っています。向いているのは「キャリアを長期的な視点で考えたい」という方です。例えば私たちは、3カ月ごとに1on1を実施して、会社からの評価や次のステップ、当初描いていたキャリアプランに近づいているかどうか——といったことをエンジニアと一緒に考えます。また、単価アップの交渉の際にも、金額の妥当性を証明するためのサポートをしています。


私たちの理想は、最終的にはエンジニアがバイネーム(自分の名前)で仕事を取れるようになり、自分でキャリアを切り開けるようになることです。そのために必要な経験は何なのかを一緒に考え、サポートしていくのが私たちの役割だと思っているのです。

【撮影:永山昌克 執筆:後藤祥子】